医療費控除の領収書はいらない?

 平成30年より、医療費控除のときに領収書等を添付しないことができるようになったようです。
 書きたいことは以下の3つ
・医療費控除の時に、領収書の代わりに「医療費通知」という書類でOKになる。
・医療費通知がきてもすべての医療費通知が医療費控除に使えるとは限らない。
・有効な医療費通知なら、医療費通知に書いてある領収書は捨ててもよい。

細かい事情は以下へ

●どんな制度か?
(国税庁)平成29年分確定申告の医療費控除の提出書類の簡略化について(平成29年9月)

 いわく、健康保険組合等が発行する「医療費のお知らせ」のような「医療費通知」を確定申告書に添付することで、領収書を添付しなくてもよく、集計作業も不要になるようです。大きいですね。
 ただし、「医療費通知」が送付されない、自費の医療費については、従来どおり領収書が必要ですね。
 この「医療費通知」は必ず、通知が来るのでしょうか。これは「医療費通知を活用した医療費控除の簡素化」という厚生労働省の文書に書いてあります。ネットでも引っかかりますが、厚生労働省のサイト内ではないので、直リンクは控えます。TAmaster No.708にも掲載されています。

●必ず医療費通知は送られてくるのか?

問2 改正省令の項目を医療費通知に記載することが保険者に義務づけられるのか。
(答)今回の省令改正は、平成 29 年度税制改正により、所得税等の医療費控除の申告の際に、医療費の明細書として医療保険者が交付する医療費通知を活用できることとされたことに伴い、保険者が医療費通知を交付する場合の標準項目を6項目示したものです。また、所得税法施行規則についても同様の改正が行われました。
 今回の改正により、医療費通知のうち上記の標準項目(6項目)を記載したもの(電子交付された医療費通知については一定の要件を満たすものに限る(問1参照))は、医療費控除の申告に活用できるようになりますが、医療費通知にこれらの標準項目を記載することを保険者に義務づけるものではありません。
 なお、従来より、予算編成通知において、被保険者などが受診した際の医療費の実情を理解してもらうとともに、健康に対する理解を深め、結果的に組合の健全な運営に資することから、医療費通知について積極的に取り組む旨を記載しておりますが、この取扱いについての変更はありません。
引用元「医療費通知を活用した医療費控除の簡素化」(H29.7.3版)(厚生労働省)

 となっています。要するに、医療費控除に使える「医療費通知」を出す義務はないので、出ないこともあるだろう。ということだと思います。

●医療費通知がきたら領収書は捨てていいのか?
※2017年12月1日書き換え
※2018年1月9日書き加え

 国税庁のお知らせには「※医療費の領収書は自宅で5年間保存する必要があります。」と明確に記載がありますが、医療費通知にかかるものについては必要ないようです。
 平成29年度税制改正の解説がわかりやすいです。

 税務署長の求めがあったときは、医療費控除適用者は、その領収を証する書類を提示し、又は提出しなければならないこととされています(所法120⑤)。このため、その添付した書類が上記イに掲げる書類である場合には、上記イに掲げる書類に係る医療費の領収書を5 年間保存していただく必要があります。一方で、上記ロに掲げる書類に係る医療費については各医療保険者により被保険者の医療費の支払が明らかにされますので、上記ロに掲げる書類を提出した場合における上記ロに掲げる書類に係る医療費の領収書は、税務署長の求めの対象外とされています。
平成29年度税制改正について(P280)

 ロというのはもちろん、医療費通知のことですね。つまり、医療費通知にかかる領収書は、税務署長の求めがあっても出す必要がない。捨てても問題ないのでしょうね

 2018年1月4日に新しくQ&Aがでて、領収書の保存が必要ないことが明確化されています。
・国税庁サイト医療費控除に関する手続について(Q&A)

医療費控除の適用を受ける場合において、医療保険者が発行するもので問1に掲げる①から⑥までの6項目の記載がある「医療費通知」を確定申告書に添付するときは、この通知に記載された項目について「医療費控除の明細書」の記載を簡略化することができ、医療費の領収書の保存も不要となります。

 ただし、自己負担額がさらに補助が受けられる場合など、よく明細を確認する必要があります。
 よくQ&Aを読んでご確認ください。

三村

H30年度税制改正のなんらか

 自民党の税制改正大綱がでました。
平成30年度税制改正大綱
 自民党が議論した内容で、税制改正の案ですが、ほぼこれに沿って来年3月には改正されるはずのものです。
 税理士の大好物ですね。3月までに政権交代などがあると、大きく変わる可能性もあるけども。。。

●平成30年度税制改正の基本的考え方
最大の課題を「少子高齢化の克服」と設定。
そのために、「生産性革命」と「人づくり革命」を断行する。
そして「誰もが生きがいを感じられる『一億総活躍社会』を作り上げる」のだそうです。
・働き方改革→所得税給与所得控除、公的年金控除、基礎控除の見直し
・生産性向上→賃上げ生産性向上の税制見直し
・中小企業の代替わりを促進する→事業承継税制
・観光立国実現→国際観光旅客税
・地方創生→地方拠点強化税制
・温室効果額削減目標の達成、災害防止→森林環境税など
・BEPSへの対応
・厳しい財源→たばこ税・消費税率10%への引き上げ
が概要だと。

●個人所得税
・給与所得控除、公的年金控除、青色申告控除を10万円減らして、基礎控除を10万円上げる
 複数所得がある人は増税ですね。逆にこれ以外の配当所得とか、株や不動産の譲渡所得の人とかは減税。
 給与所得控除も、給与収入850万円が上限となってしまう。これは、サラリーマンにはきつい。
 基礎控除は2400万円超の所得があると基礎控除がほぼなくなる。
 住民税も同様。
(2020年1月1日以後)

・合計所得金額要件が緩和される。
 配偶者控除や扶養控除の要件がゆるくなって、10万円ずつ引き上げられる。
 しかし、給与所得控除は減るので、103万円の壁はかわらない。
(2020年1月1日以後)

・年末調整の書類を電磁的方法で出せるようになる。
 マイナポータルとかの利用で年末調整ができるようになるかな。
(2020年10月1日以後)

・支払調書のe-tax等による提出義務が100枚以上の場合になる
(2021年1月1日以後)

つづく

三村

平成30年分以後の配偶者控除について

配偶者控除が平成30年より改正されることとなっております。
以下の点に注意して、扶養控除申告の記載や、働き方について検討してください。

1.平成30年より配偶者控除が変わります。
(ア)扶養される配偶者の所得に関する影響
扶養される方の年間所得が123万円まで、配偶者控除(配偶者特別控除を含みます)の適用を受けることができることになりました。
給与額でいうと、配偶者が201万円まで年収であれば、配偶者控除等を使うことができることとなりました。

ただし、社会保険の扶養に入るためには、年間見込み収入が130万円未満(60歳以上又は障害者の場合は、180万円未満)でなければならないことには変更がありません。

(イ)配偶者を扶養するご本人の所得による影響
扶養する方の年間所得額が1000万円超の場合は、配偶者控除がうけられないこととなりました。900万円超の場合でも、配偶者控除の金額は少なくなってしまいます。

詳しくは
(国税庁)源泉所得税の改正のあらまし(平成29年4月)
(国税庁)平成30年分以降の配偶者控除及び配偶者特別控除の取扱いについて
このあたりをご確認ください。

三村

国外居住親族の扶養控除

※ ネタ元
税務通信「3369号 2015年07月20日税務の動向 28年からの国外居住親族の扶養控除は一定書類の添付が必要 国税庁 同改正に関するQ&Aの公表を検討( 05頁)」

 外国の方が日本で働くときに、扶養にたくさんの外国の親族を入れすぎて、問題になる事が結構ありましたが、これに改正が入りました。

 「国外居住親族」を扶養に入れるための要件が、平成28年1月より厳格化されます。
 外国での書類発行が必要なこともあるので、早めにアナウンスしておきたいですね。

 必要な要件、書類は
■平成28年の最初に給与等の支払を受ける日の前日”までに行う手続
 扶養控除申告書に「親族関係書類」の提出等を受ける。
 この書類は、外国の政府や地方公共団体が発行した、親族であることや、障害者であることを証明ができるような証明書。日本だと戸籍に当たるようなものとか、住民票で親子の証明ができるようなものとか。

■“その年の最後に給与等の支払を受ける日の前日”までに行う手続 (年末調整における税額の計算上過不足が生じる場合)
 「送金関係書類」の提出等を受ける。
 この書類は、
 ○扶養親族ごとに送った送金明細書
 OR(←多分ANDではない)
 ○クレジットカード等の購入の明細と、その代金相当額をを支払ったことを明らかにする書類

 お母さんに送金したので、お父さんも、兄弟も。とはいかず、全員入れるためには、お母さんにも、お父さんにも、兄弟にも別々で送金する必要があるということになりますね。
 親族から発行してもらった領収書と、利用した代金の明細というコンビもよさそうですが、大変そうです。

以下メモ

■所得税法施行令
(確定申告書に関する書類の提出又は提示)
第二百六十二条  
2  法第百二十条第三項第二号(法第百二十二条第三項、第百二十三条第三項、第百二十五条第四項及び第百二十七条第四項において準用する場合を含む。)に掲げる居住者は、同号に規定する記載がされる親族に係る次に掲げる書類を、当該記載がされる障害者控除に係る障害者(確定申告書に控除対象配偶者又は控除対象扶養親族として記載がされる者を除く。以下この項において「国外居住障害者」という。)、当該記載がされる控除対象配偶者若しくは配偶者特別控除に係る配偶者(以下この項において「国外居住配偶者」という。)若しくは当該記載がされる控除対象扶養親族(以下この項において「国外居住扶養親族」という。)の各人別に確定申告書に添付し、又は当該申告書の提出の際提示しなければならない。ただし、法第百九十条第二号の規定により同号に規定する給与所得控除後の給与等の金額から控除された当該国外居住障害者に係る障害者控除の額に相当する金額、当該国外居住配偶者に係る配偶者控除若しくは配偶者特別控除の額に相当する金額若しくは当該国外居住扶養親族に係る扶養控除の額に相当する金額に係る次に掲げる書類又は当該給与等の金額から控除されたこれらの相当する金額に係る国外居住障害者、国外居住配偶者若しくは国外居住扶養親族以外の者について法第百九十四条第四項(給与所得者の扶養控除等申告書)、第百九十五条第四項(従たる給与についての扶養控除等申告書)若しくは第二百三条の五第三項(公的年金等の受給者の扶養親族等申告書)の規定により提出し、若しくは提示した第一号に掲げる書類については、この限りでない。
一  次に掲げる者の区分に応じ、次に定める旨を証する書類として財務省令で定めるもの
 イ 国外居住障害者 当該国外居住障害者が当該居住者の親族に該当する旨
 ロ 国外居住配偶者 当該国外居住配偶者が当該居住者の配偶者に該当する旨
 ハ 国外居住扶養親族 当該国外居住扶養親族が当該居住者の配偶者以外の親族に該当する旨
二  当該国外居住障害者、国外居住配偶者又は国外居住扶養親族が当該居住者と生計を一にすることを明らかにする書類として財務省令で定めるもの

■所得税法施行規則
第四十七条の二
4  令第二百六十二条第二項第一号に規定する財務省令で定める書類は、同号イからハまでに掲げる者に係る次に掲げるいずれかの書類であつて、同号イからハまでに掲げる者の区分に応じ同号イからハまでに定める旨を証するもの(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含む。)とする。
一  戸籍の附票の写しその他の国又は地方公共団体が発行した書類及び旅券(出入国管理及び難民認定法第二条第五号(定義)に規定する旅券をいう。)の写し
二  外国政府又は外国の地方公共団体が発行した書類(令第二百六十二条第二項第一号イからハまでに掲げる者の氏名、生年月日及び住所又は居所の記載があるものに限る。)
5  令第二百六十二条第二項第二号に規定する財務省令で定める書類は、次に掲げる書類であつて、同項の居住者がその年において同項に規定する国外居住障害者、国外居住配偶者又は国外居住扶養親族(以下この項において「国外居住親族」という。)の生活費又は教育費に充てるための支払を必要の都度、各人に行つたことを明らかにするもの(当該書類が外国語で作成されている場合には、その翻訳文を含む。)とする。
一  内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律(平成九年法律第百十号)第二条第三号(定義)に規定する金融機関の書類又はその写しで、当該金融機関が行う為替取引によつて当該居住者から当該国外居住親族に支払をしたことを明らかにするもの
二  クレジットカード等購入あつせん業者(それを提示し又は通知して、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者(役務の提供の事業を営む者をいう。以下この号において同じ。)から有償で役務の提供を受けることができるカードその他の物又は番号、記号その他の符号(以下この号において「クレジットカード等」という。)をこれにより商品若しくは権利を購入しようとする者又は役務の提供を受けようとする者(以下この号において「利用者たる顧客」という。)に交付し又は付与し、当該利用者たる顧客が当該クレジットカード等を提示し又は通知して特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたときは、当該販売業者又は役務提供事業者に当該商品若しくは権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の金銭を直接に又は第三者を経由して交付するとともに、当該利用者たる顧客から、あらかじめ定められた時期までに当該代金若しくは当該対価の合計額の金銭を受領し、又はあらかじめ定められた時期ごとに当該合計額を基礎としてあらかじめ定められた方法により算定して得た額の金銭を受領する業務を行う者をいう。)の書類又はその写しで、クレジットカード等を当該国外居住親族が提示し又は通知して、特定の販売業者から商品若しくは権利を購入し、又は特定の役務提供事業者から有償で役務の提供を受けたことにより支払うこととなる当該商品若しくは権利の代金又は当該役務の対価に相当する額の金銭を当該居住者から受領し、又は受領することとなることを明らかにするもの

■所得税法基本通達
(送金関係書類の範囲)
120-8 規則第 47 条の2第5項各号に掲げる書類(以下 120-9までにおいて「送金関係書類」という。)は、同項の居住者がその年において国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を、必要の都度、各人別に行ったことを明らかにするものをいうのであるから、居住者が一の国外居住親族に対して他の国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を行った場合における当該支払に係る送金関係書類については、他の国外居住親族に係る送金関係書類には該当しないことに留意する。

(その年に3回以上の支払を行った居住者の送金関係書類の提出又は提示)
120-9 居住者が国外居住親族の生活費又は教育費に充てるための支払を、その年に同一の国外居住親族に3回以上行った場合の送金関係書類の提出又は提示については、その年の全ての送金関係書類の提出又は提示に代えて、次に掲げる事項を記載した明細書の提出及び各国外居住親族のその年の最初と最後の支払に係る送金関係書類の提出又は提示として差し支えない。
この場合において、居住者は提出又は提示しなかった送金関係書類を保管するものとし、税務署長は必要があると認める場合には当該送金関係書類を提出又は提示させることができるものとする。
(1) 居住者の氏名及び住所
(2) 支払を受けた国外居住親族の氏名
(3) 支払日
(4) 支払方法(規則第 47 条の2第5項第1号又は第2号の支払方法の別)
(5) 支払額
(注) 支払日とは、次に掲げる書類の区分に応じ、それぞれ次に定める日をいう。
(1) 規則第 47 条の2第5項第1号に掲げる書類 居住者が国外居住親族に生活費又は教育費に充てるための金銭を送金した日
(2) 規則第 47 条の2第5項第2号に掲げる書類 国外居住親族が同号に規定する特定の販売業者又は特定の役務提供事業者に同号に規定するクレジットカ-ド等を提示又は通知をした日

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